2025年1月からは定期健康診断結果報告書の電子申請が原則義務化され、2028年4月には従業員50人未満の事業場にもストレスチェックの実施義務が広がります。紙やExcelで健康データを管理している企業ほど、報告書作成や実施状況の集計にかかる作業が増え、対応の仕組み化が急務になっています。
以下では、人事労務システムや勤怠管理システムとの業務範囲の違いを押さえたうえで、上記のような制度改正が続く背景、主な機能5つ、導入のメリットと事前に確認すべき注意点までを順に解説します。料金や製品ごとの機能比較は、後述する比較記事で確認できます。
健康管理システムとは
健康管理システムとは、従業員の健康診断結果・ストレスチェックの結果・長時間労働の状況・産業医面談の記録といった健康関連データを一元管理し、就労判定や法定の報告書類作成を支援するシステムです。健診結果や面談記録は実施年度だけで完結するものではなく、経年での状態把握や労基署からの照会に備えて参照できる状態を保つ必要があります。紙やExcelでの管理では担当者の異動・退職で過去データの所在が分からなくなりやすく、継続的に管理できる仕組み自体が法令対応上のリスク低減につながります。
健康管理システムが担う業務の範囲
健康管理システムが担うのは、健診・ストレスチェックデータの集約、面談記録の管理、法定報告書類の作成支援、産業医・保健師との情報共有という、労働安全衛生法に基づく産業保健業務です。診断や治療そのものを行う医療システムではなく、企業が実施義務を負う健康管理業務を効率化する仕組みという点が特徴です。
人事労務システム・勤怠管理システムとの違い
健康管理システムは健診結果やストレスチェックといった健康データを扱う一方、人事労務システムは給与・社会保険手続き(詳しくは労務管理システムとは?機能とメリットをわかりやすく解説で解説しています)、勤怠管理システムは労働時間の記録(詳しくは勤怠管理システムとは?機能とメリットをわかりやすく解説で解説しています)を主に扱います。長時間労働者への面接指導は勤怠データと健康データの両方を参照するため、両システムとの連携機能を備える製品が増えています。製品ごとのタイプ分けと具体的な比較は、健康管理システムのおすすめ4選を比較【2026年版】料金・機能・選び方で確認できます。
健康管理システムの導入が増えている背景
健康管理システムの導入が広がっている理由は、産業保健に関する法定手続きが電子化・対象拡大の方向で改正が続いていることにあります。
定期健康診断結果報告書の電子申請が義務化された
労働安全衛生法関連の改正により、2025年1月1日から定期健康診断結果報告をはじめとする一部の届出・報告について、電子申請が原則義務化されました。対象は常時50人以上の労働者を使用する事業場で、e-Govを通じた電子申請が求められます。紙で作成した報告書をそのまま提出する運用は、原則として想定されていません。
※2026年8月時点の一般的な制度理解に基づく参考情報です。手続きの詳細は厚生労働省・所轄の労働基準監督署でご確認ください。
ストレスチェックの実施義務が50人未満の事業場にも広がる
2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、これまで努力義務だった労働者数50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施が義務化されます。施行時期は2028年4月1日とされており、対象となる事業場では実施体制の整備が今後の課題になります。義務化後は、実施状況の記録と集計を仕組み化しておく必要性が増します。
健康データを扱う担当者の負担が増えている
報告対象の拡大や実施義務の広がりにより、人事労務担当者が扱う健康データの量と手続きの複雑さが増しています。紙やExcelでの管理では対象者の抽出や報告書作成に時間がかかり、記入漏れや提出遅延のリスクも残ります。
健康管理システムの主な機能
健康管理システムの中心となる機能は、健診結果の一元管理・ストレスチェックの実施と集計・長時間労働と面接指導の管理・産業医との情報共有・法定報告書類の作成支援の5つです。
健康診断結果のデータ管理
健診結果を従業員ごとにデータとして蓄積し、有所見者や再検査対象者を一覧で把握できる機能です。紙の結果表を1件ずつ確認する作業や、有所見者の抽出作業の手間を省ける点が実務上のメリットです。
ストレスチェックの実施・集計
ストレスチェックの配信から回答の集計、高ストレス者の抽出までをオンラインで行う機能です。削減できる作業:未回答者への個別リマインドと、集計結果の手作業での取りまとめがなくなります。
長時間労働者への面接指導管理
勤怠データと連携し、面接指導の対象者を自動で抽出して実施状況を管理する機能です。対象者の洗い出しや面談実施の抜け漏れ確認にかかる時間を減らせる点が特徴です。
産業医・保健師とのデータ共有
産業医や保健師をアカウントとして招待し、健診結果や面談記録を共有できる機能です。運用上の効果:面談前に資料を郵送・メールで準備する手間がなくなります。
労基署への法定報告書類の作成支援
定期健康診断結果報告書などの必要項目を自動で集計し、e-Gov経由の電子申請に対応した形式で出力する機能です。書類作成における効果:対象者の抽出から書式への転記までの作業がなくなります。
健康管理システムを導入するメリット
健康管理システムを導入するメリットは、担当者の作業負担の軽減・法定報告への対応・受診率とデータ活用の向上の3点です。
健診・報告書関連の作業負担を減らせる
有所見者の抽出や報告書への転記が自動化され、従業員数が多い企業ほど削減効果を実感しやすくなります。担当者は個別対応が必要なケースの判断に時間を割けます。
法改正への対応をシステム側に任せられる
報告様式や電子申請の要件が変わった場合も、システム側の更新に沿って対応できます。制度改正が続く産業保健分野では、対応漏れを防げること自体が実務上の価値になります。
受診率の向上とデータに基づく施策立案がしやすくなる
未受診者への自動リマインドにより受診率の向上が期待できるほか、蓄積したデータから有所見者の傾向を把握し、健康施策の立案に活用しやすくなります。
導入前に確認したいデメリット・注意点
健康管理システムには、導入前に確認しておきたい注意点が継続コスト・初期登録の工数・セキュリティ体制の3点あります。
利用している間は費用が発生し続ける
健康管理システムは月額または年額の継続課金が基本です。2026年8月時点で主要製品の公式サイトを確認したところ、低価格帯は従業員1人あたり月額100円台から、健保データ連携を含む大規模向けは初期費用150万円・月額15万円からと、対象規模によって料金帯が分かれていました。見積もりの際は、従業員数の上限・産業医紹介の要否・健保組合連携の有無を確認してください。 製品ごとの料金と機能を比較したい場合は、健康管理システムのおすすめ4選を比較【2026年版】料金・機能・選び方をご覧ください。
※料金は2026年8月時点の各社公式サイトの調査に基づく参考値です。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。
過去の健診データの登録に手間がかかる
紙やExcelで管理してきた過去の健診結果を移行する場合、データ入力や突合の作業が発生します。対象年数をさかのぼるほど工数は増えるため、移行範囲をどこまでとするか事前に決めておく必要があります。
要配慮個人情報を扱う体制の整備が必要
健康診断結果やストレスチェックの結果は、個人情報保護法上の要配慮個人情報にあたります。アクセス権限の設計、閲覧できる担当者の範囲、産業医・保健師以外への非開示ルールなど、通常の業務システム以上に慎重なセキュリティ・運用体制の整備が求められます。
健康管理システム導入の進め方
健康管理システムの導入は、現状整理 → 候補の比較 → 無料トライアル → データ移行と初期設定 → 社内周知と運用開始の5ステップで進めるのが一般的です。
| ステップ | 内容 | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|
| 1. 現状整理 | 健診・ストレスチェックのデータ管理方法と、報告書作成にかかる時間を洗い出す | 対象従業員数、産業医の有無、健保組合との連携要否 |
| 2. 候補の比較 | 事業場規模・必要機能から2〜3製品に絞る | 産業医紹介サービスの要否、e-Gov電子申請への対応可否 |
| 3. 無料トライアル | 実際にデータを登録し、集計・報告書出力の操作感を確認する | 入力担当者にとっての使いやすさ、出力できる帳票の種類 |
| 4. データ移行・初期設定 | 過去の健診データを移行し、権限や通知ルールを設定する | 移行対象の年数、アクセス権限の範囲 |
| 5. 社内周知・運用開始 | 従業員・産業医・人事労務担当者へ運用ルールを周知する | ストレスチェックの案内方法、面談記録の共有範囲 |
※期間や進め方は一般的な導入プロセスをもとに整理した目安です。事業場の規模や移行データ量によって変動します。
50人未満の事業場でストレスチェックが未実施の場合も、2028年4月の義務化を見据えて早めに実施体制を整えておくと、施行後の対応がスムーズになります。
健康管理システムに関するよくある質問
健康管理システムの検討時に相談の多い2つの疑問について回答します。
Q. 健康管理システムの導入にはどのくらいの準備期間が必要ですか?
トライアルから本格運用までは1〜2ヶ月程度が目安です。過去データの移行範囲が広い場合は、データ整備に追加の期間が必要になります。
Q. 従業員数50人未満の事業場でも導入したほうがよいですか?
検討をおすすめします。ストレスチェックの実施義務は2028年4月1日から50人未満の事業場にも広がるため、義務化前に運用の仕組みを整えておくと、施行後の対応に慌てずに済みます。
まとめ
健康管理システムは、従業員の健診結果やストレスチェックのデータを一元管理し、法定報告書の作成や産業医との連携を効率化する仕組みです。
- 主な機能は、健診結果の一元管理・ストレスチェックの実施と集計・長時間労働者への面接指導管理・産業医とのデータ共有・法定報告書類の作成支援の5つ
- 導入が増えている背景には、定期健康診断結果報告書の電子申請義務化とストレスチェック実施義務の50人未満事業場への拡大(2028年4月施行予定)という制度面の要因がある
- メリットは、担当者の作業負担の軽減、法改正対応をシステム側に任せられること、受診率とデータ活用の向上
- 注意点は、継続課金・過去データの移行工数・要配慮個人情報を扱うセキュリティ体制の整備
- 50人未満の事業場は、義務化の施行前に運用の仕組みを整えておくと手戻りが少ない
自社に合う製品を具体的に比較したい場合は、健康管理システムのおすすめ4選を比較【2026年版】料金・機能・選び方で、料金・機能・タイプ別の選び方を確認できます。掲載サービスの一覧と資料請求は健康管理システムのカテゴリページからご覧いただけます。