勤怠管理システムとは?機能とメリットをわかりやすく解説

勤怠管理システムとは?機能とメリットをわかりやすく解説

月60時間を超える残業の割増賃金率が中小企業にも50%以上へ引き上げられて以降、タイムカードやExcelでの手集計は区分ミスと隣り合わせです。勤怠管理システムは、出退勤・残業・休暇のデータをクラウド上で記録し、法令にもとづいて自動で仕訳・集計する仕組みです。本記事では、意味と導入背景、主な機能5つ、メリット・注意点、自社に必要かの見極め方までを解説します。

勤怠管理システムとは

勤怠管理システムとは、従業員の出勤・退勤時刻、休憩時間、残業時間、休暇の取得状況をクラウド上で記録し、法令にもとづいて自動集計する仕組みです。PC・スマートフォン・ICカード・生体認証など複数の打刻方法に対応し、記録データを労働時間の集計や給与計算に連携できる点が、紙のタイムカードやExcelとの違いです。

勤怠管理システムが記録・集計する4種類のデータ

勤怠管理システムが扱うデータは次の4種類です。

データの種類 具体例
出退勤時刻 始業・終業の打刻時刻、遅刻・早退の有無
休憩時間 休憩の開始・終了時刻、取得漏れの有無
残業時間 法定内残業・法定外残業・深夜労働・休日労働の区分
休暇取得状況 有給休暇・欠勤・特別休暇の取得日数と残日数

とくに残業時間は、法定内か法定外か、深夜・休日にまたがるかで割増賃金率が変わります。勤怠管理システムはこの区分を打刻データから自動で仕訳するため、手計算が不要になります。

主流なのはサーバー調達が不要なクラウド型で、月額課金制で法改正時も自動アップデートされます。カスタマイズ重視の企業向けのオンプレミス型もありますが、新規導入の多くはクラウド型のため、本記事も以降はクラウド型を前提に解説します。

勤怠管理システムと給与計算ソフトの違い

勤怠管理システムは「労働時間を記録・集計する」仕組み、給与計算ソフトは「集計結果から支給額を算出する」仕組みで、役割が異なります。集計した残業時間や欠勤日数を給与計算ソフトに連携し、支給額を算出するのが一般的な流れです。給与計算ソフトの機能は、給与計算ソフトとは?機能とメリットをわかりやすく解説で解説しています。

勤怠管理システムの導入が増えている背景

法令面で求められる正確さが強まる一方、それを支える人員は増えていません。

労働時間の客観的な把握が全企業に義務付けられている

2019年4月施行の改正労働安全衛生法により、企業規模を問わず客観的な方法で労働時間を把握する義務が課されています。自己申告のみに頼った管理はこの義務を満たしているとみなされにくく、打刻データが自動で残る仕組みへの切り替えが進んでいます。

中小企業でも残業の割増賃金計算が複雑になっている

2023年4月から、月60時間を超える時間外労働の法定割増賃金率が中小企業にも適用され、25%以上から50%以上に引き上げられました。60時間を境に割増率が変わるため、手計算でのミスが起きやすくなっています。

働き方の多様化とクラウド化が導入を後押ししている

テレワーク導入率は2024年時点で47.3%です(総務省「令和6年通信利用動向調査」)。テレワークやシフト勤務が混在すると出社前提の打刻が難しくなります。あわせてクラウドサービス利用率は80.6%に達し(総務省「令和7年版 情報通信白書」)、月額制のクラウド型が主流になったことで少人数の組織でも試しやすくなりました。正社員不足を感じる企業は50.6%にのぼり(帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」)、人手を減らしたい需要も後押ししています。

※各数値は2026年8月時点の調査に基づく参考値です。最新情報は各公表元の資料をご確認ください。法令の適用範囲や施行時期の詳細については、厚生労働省の公表資料をご確認ください。

勤怠管理システムの主な機能5つ

勤怠管理システムの中心となる機能は、打刻・労働時間の自動集計・申請承認・シフト管理・アラートの5つです。製品によって呼び方は異なりますが、ほぼ共通して備わっています。

打刻機能

PC・スマホ・ICカード・生体認証・GPS打刻など複数の方法で記録でき、拠点ごとに使い分けられる製品もあります。出社しないと打刻できないという制約がなくなります。

労働時間の自動集計機能

打刻データをもとに法定内残業・法定外残業・深夜労働・休日労働を就業規則に沿って自動で仕訳し、月次で集計します。

集計業務への影響:締め日ごとの再計算と、割増賃金率を手作業で当てはめる手間がなくなります。

休暇・残業などの申請承認ワークフロー

有給休暇・欠勤・残業・休日出勤の申請をオンラインで完結させ、上長がスマホやPCから承認できます。履歴が自動で残るため、紙の申請書を探す・催促する・保管する作業が減ります。

シフト管理機能

従業員の希望や資格を踏まえてシフトを作成し、変更や交代の申請を共有します。実際の打刻データと突き合わせ、乖離を表示する製品もあります。

効果:Excelでのシフト表作成と、変更のたびの連絡・調整の手間が減ります。

アラート・法令対応機能

残業時間が上限に近づいた場合や、有給休暇の年5日取得義務を満たしていない場合に、担当者へ自動で通知します。法改正時は、クラウド型ならアップデートで集計ロジックが自動更新されます。

何が楽になるか:法令違反のリスクに気づかないまま締め日を迎える事態を防げます。

集計したデータは、CSVやAPI連携で給与計算ソフトへ引き継ぐのが一般的です。連携できる範囲は製品ごとに異なるため事前に確認してください。

勤怠管理システムを導入するメリット

導入効果は、集計工数の削減・労務コンプライアンスの担保・多様な働き方への対応の3点に整理できます。

集計業務の工数を削減できる

打刻から集計までが自動化されるため、締め日前の手作業での再確認や検算が不要になります。従業員数が多いほど効果は大きくなります。

客観的な記録で労務コンプライアンスを担保できる

打刻データが客観的な記録として残るため、把握義務や残業時間の上限規制に対応しやすくなります。監督署の調査時にも記録で説明でき、生体認証やGPS打刻は代理打刻も防ぎやすくなります。

多様な働き方に対応しやすくなる

テレワーク・直行直帰・フレックスタイム・シフト勤務が混在していても、場所を問わず同じ仕組みで打刻・集計できます。勤務形態ごとに管理方法を分ける必要がなくなるため、制度を増やす際の運用負担も抑えられます。

導入前に確認したいデメリット・注意点

導入すればすぐに効果が出るわけではありません。検討段階で初期設定・打刻周知の負担、料金体系の2点を確認しておきましょう。

初期設定と打刻方法の周知に手間がかかる

勤務パターン・休憩ルール・残業の区分・締め日を1つずつ設定する必要があり、例外的な運用が多い企業ほど時間がかかります。あわせて全従業員への周知も必要で、パート・アルバイトの入れ替わりが多い職場では手間が継続的に発生します。

料金体系は「1人あたり月額」だけではない

料金は1人あたりの月額課金が中心ですが、課金対象が「登録人数」か「実際に打刻した人数」かで負担額が変わり、最低利用料金や機器費用が別途かかる製品もあります。見積もりの際は月額単価だけでなく課金対象・最低利用料金まで確認してください。 具体的な料金は、勤怠管理システムのおすすめ8選を徹底比較【2026年版】料金・機能・選び方勤怠管理システムの費用相場は?10製品の料金で比較でまとめています。

※料金体系は2026年8月時点の各社公式サイトの調査に基づきます。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。

自社に必要かどうかを判断する目安

必要性は企業規模ではなく打刻方法の複雑さと集計工数で判断します。以下に複数当てはまるなら検討の価値があります。

  • タイムカードや自己申告の集計に毎月まとまった時間がかかっている
  • テレワークやシフト勤務が混在し、出社前提の打刻では対応しきれない
  • 残業の割増賃金の区分でミスが起きたことがある

逆に従業員数が少なく勤務形態が固定的なら急ぐ必要はありません。判断軸は勤怠管理システムは中小企業に必要?費用と選び方を、Excelからの移行は勤怠管理をエクセルで行う限界とは?脱Excelのタイミングと移行手順をご覧ください。

勤怠管理システム導入の進め方

導入は、現状の運用整理 → 比較・資料請求 → 無料トライアル → 就業ルールの設定 → 一部部署からの運用開始の5ステップで進めるのが一般的で、全社展開までおおむね1〜3か月を見込みます。

ステップ 内容 目安期間
1. 運用を整理する 就業規則・締め日・打刻方法の例外を洗い出す 1〜2週間
2. 比較・資料請求する 打刻方法や連携要否で2〜3製品に絞る 1〜2週間
3. トライアルで試す 打刻・承認画面を現場で操作してもらう 2〜4週間
4. 就業ルールを設定する 勤務パターン・残業区分を反映する 1〜3週間
5. 一部部署から開始する 先行運用し調整のうえ全社へ広げる 2〜8週間

※期間は一般的な導入プロセスをもとにした目安です。従業員数や就業規則の複雑さによって変動します。

手戻りが起きやすいのはステップ4です。シフト勤務など例外的な運用がある場合は、トライアル段階で試しておくと設定変更を減らせます。

勤怠管理システムに関するよくある質問

Q. 導入すれば、労働時間の把握義務に対応したことになりますか?

打刻データを客観的な記録として残せる点では役立ちますが、乖離があれば確認・修正する体制もあわせて必要で、導入だけで自動的に義務を満たすわけではありません。

Q. 打刻機器がない店舗や工場でも導入できますか?

スマートフォンアプリやICカードリーダー、GPS打刻に対応した製品があり、PC環境がなくても導入できるケースが多くあります。対応状況は各製品の公式サイトで確認してください。

Q. 導入から運用開始までどのくらいの期間がかかりますか?

就業ルールがシンプルな中小企業であれば1か月程度、例外が多い企業や複数拠点がある企業では2〜3か月程度が目安です。

まとめ

勤怠管理システムとは、従業員の出退勤時刻や残業時間、休暇の取得状況をクラウド上で記録・集計する仕組みです。

  • 紙のタイムカードやExcelとの違いは、打刻後の集計・法令チェックを自動化できる点にある
  • 導入背景は労働時間の把握義務の強化・残業計算の複雑化・働き方の多様化とクラウド化の3点
  • 主な機能は、打刻・労働時間の自動集計・申請承認・シフト管理・アラートの5つ
  • 注意点は、初期設定・打刻周知の負担、料金体系の確認の2点
  • 必要かどうかは企業規模ではなく、打刻方法の複雑さと集計にかかっている工数で判断する

製品を具体的に比べたい場合は、勤怠管理システムのおすすめ8選を徹底比較【2026年版】料金・機能・選び方で料金・機能を確認できます。掲載サービス一覧は勤怠管理システムのカテゴリページからご覧いただけます。

※本記事は2026年8月時点の公式サイト・公的統計をもとに作成しています。料金・機能・提供条件は変更される場合があるため、契約前には各社公式サイトでご確認ください。

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