「オンボーディング サービス」という言葉で探すと、性質のまったく違う2種類の製品が並びます。ひとつは新入社員の受け入れを支援する人事向けのもの、もうひとつは自社サービスの利用者に使い方を案内するプロダクト向けのものです。同じ名前で呼ばれていますが、対象も導入部署も費用も異なります。
この記事では、まず2つの違いを整理し、後者のプロダクト内オンボーディングを担うツールについて、SmartSpaceに掲載している10製品の公開料金と選び方をまとめます。
本記事に記載した料金は2026年8月時点の各社公式サイトの公開情報に基づく参考値です。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。
「オンボーディング」が指す2つの領域
| 人事のオンボーディング | プロダクト内オンボーディング | |
|---|---|---|
| 対象 | 入社した従業員 | 自社サービスを使い始めた顧客 |
| 目的 | 早期の戦力化、早期離職の防止 | 機能の活用促進、解約の防止 |
| 担当部署 | 人事・現場のマネージャー | カスタマーサクセス・プロダクト |
| 主な手段 | 受け入れ計画、研修、面談、社内情報の集約 | 画面上のガイド表示、利用状況の可視化、利用が滞った顧客への働きかけ |
| 関連するツール | タレントマネジメント、社員研修、組織サーベイ | カスタマーサクセスツール |
検索した意図が前者であれば、タレントマネジメントシステムや社員研修サービスが対象領域になります。以降は後者のプロダクト内オンボーディングについて説明します。
プロダクト内オンボーディングツールとは
自社のSaaSやWebサービスの画面上に、ガイドやポップアップを表示して、利用者が機能を使いこなせるよう案内する仕組みです。開発工数をかけずにUI上へガイドを追加できる点が、この種のツールの中心的な価値になります。
解こうとしている問題
契約はされたが使われていない、という状態を減らすことが目的です。使われないまま更新時期を迎えると解約につながるため、導入直後の数週間で主要機能に触れてもらえるかが事業の継続率に直結します。
この課題に対して、従来はカスタマーサクセス担当が個別に説明会を開いたり、マニュアルを送ったりして対応してきました。ただしこの方法は顧客数に比例して人手が必要になるため、契約社数が増えるほど回らなくなります。プロダクト内で案内を完結させるのは、この人手の制約を外すための手段です。
主な機能
| 機能 | できること |
|---|---|
| 画面内ガイド・ポップアップ | 初回ログイン時のツアー表示、新機能の告知、入力欄の説明を開発なしで追加 |
| 利用状況の可視化 | どの機能がどれだけ使われているか、どこで離脱しているかを把握 |
| ヘルススコア | 利用状況から解約リスクの高い顧客を抽出 |
| アクションの自動化 | 利用が滞った顧客へのメール送信や、担当者への通知 |
| コミュニティ・問い合わせ対応 | 利用者同士の情報交換の場、self-serviceでの疑問解消 |
製品によって重心が異なります。画面内ガイドに特化したもの、利用状況の分析を中心としたもの、コミュニティ運営まで含むものがあり、自社の課題が「使い方が分からない」なのか「使われているか把握できない」なのかで選ぶべき製品が変わります。
掲載10製品の公開料金
| 製品 | 提供会社 | 初期費用 | 月額 | 無料 |
|---|---|---|---|---|
| Fullstar | 株式会社Cloud CIRCUS | 0円(Freeプラン) | 0円〜(Freeプラン) | あり(Freeプラン) |
| Growwwing | 株式会社Insight Tech | 要見積もり | 60,000円〜 | 要問い合わせ |
| pottos | 株式会社ポトス | 要見積もり | 98,000円程度〜 | 要問い合わせ |
| Onboarding | 株式会社STANDS | 100,000円程度 | 98,000円程度〜 | 要問い合わせ |
| テックタッチ | テックタッチ株式会社 | 要見積もり | 要見積もり | あり |
| commmune | コミューン株式会社 | 要見積もり | 要見積もり | 要問い合わせ |
| KiZUKAI | 株式会社KiZUKAI | 要見積もり | 要見積もり | 要問い合わせ |
| RightSupport by KARTE | 株式会社RightTouch | 要見積もり | 要見積もり | 要問い合わせ |
| EmotionTech CX | 株式会社エモーションテック | 要見積もり | 要見積もり | 要問い合わせ |
| coorum | 株式会社コーラム | 要見積もり | 要見積もり | 要問い合わせ |
料金を公開しているのは4製品です。無料プランを持つFullstarを除くと、月額60,000円〜98,000円台に集まっています。初期費用まで公開しているのはOnboarding(100,000円程度)のみです。
年額で見た費用の目安
| 月額 | 年額 | 初年度(初期10万円を加えた場合) |
|---|---|---|
| 60,000円 | 720,000円 | 820,000円 |
| 98,000円 | 1,176,000円 | 1,276,000円 |
※ 公開されている最小構成の金額で計算した参考値です。実際の金額は利用規模・機能により異なります。
年間70万〜130万円という水準は、カスタマーサクセス担当を1名増やす人件費より低い一方、無視できる金額でもありません。導入によって削減できる説明工数、または防げる解約の金額と並べて判断する必要があります。
選ぶときの4つの基準
1. 解きたい課題を1つに絞る
「使い方が分からない」なら画面内ガイド型、「使われているか分からない」なら利用状況の可視化型、「問い合わせが多い」ならセルフサービス型です。すべてを備えた製品を探すと金額が上がり、結局どれも使われないという結果になりやすくなります。
2. 開発工数がどれだけ不要か確認する
この種のツールの価値は、開発を待たずにガイドを追加・修正できる点にあります。導入時にどこまで開発側の作業が必要か、ガイドの作成・修正を誰が行えるかを、トライアルの段階で確認してください。ここが実際には開発が必要となると、導入の意味が薄れます。
3. 無料プランで検証してから判断する
Fullstarは無料プランを提供しており、テックタッチも無料の提供があります。まず自社の画面にガイドを1本置いてみて、想定どおりに表示されるかを確認すると、実装上の相性が早く分かります。
4. 効果の測り方を先に決める
初回ログインから主要機能の利用までの到達率、30日後の継続率、問い合わせ件数のいずれかを、導入前に測っておいてください。導入後の比較対象がないと、費用の妥当性を判断できません。
主なオンボーディングツール
Fullstar
★★★★★★★★★★- 初期費用
- 0円(Freeプラン)
- 月額費用
- 0円〜(Freeプラン)
- 無料トライアル
- あり(Freeプラン)
- 最短導入
- 要問い合わせ
- ノーコードでガイド・ツールチップを作成しオンボーディング工数を削減
- 利用率が下がったユーザーを検知する解約アラート機能
- 書類不要・最低利用期間なしでずっと無料のFreeプランを提供
Onboarding
★★★★★★★★★★- 初期費用
- 100,000円程度
- 月額費用
- 98,000円程度〜
- 無料トライアル
- 要問い合わせ
- 最短導入
- 要問い合わせ
- SaaSプロダクト上にガイド・ポップアップを表示するオンボーディング特化
- 開発工数をかけずにUI上へガイドを追加可能
- 解約率改善やユーザーの活用度向上を支援
Growwwing
★★★★★★★★★★- 初期費用
- 要見積もり
- 月額費用
- 60,000円〜
- 無料トライアル
- 要問い合わせ
- 最短導入
- 要問い合わせ
- サブスクリプション・SaaSビジネス向けの顧客情報一元管理
- データの可視化・分析とCS担当者の活動管理に対応
- 月額60,000円からの明快な3段階プラン
オンボーディングツールに関するよくある質問
Q. 人事のオンボーディングツールとは違うのですか
違います。人事のオンボーディングは入社した従業員の受け入れを支援するもので、タレントマネジメントシステムや社員研修サービスが該当します。この記事で扱っているのは、自社サービスの利用者に画面上で使い方を案内するツールで、カスタマーサクセス部門が導入します。対象・目的・担当部署がいずれも異なります。
Q. 費用はどのくらいかかりますか
掲載10製品のうち料金を公開しているのは4製品で、無料プランを持つFullstarを除くと月額60,000円〜98,000円台です。初期費用を公開しているのはOnboardingの100,000円程度のみです。年額では70万〜130万円が目安になりますが、利用規模により変わるため見積もりが必要です。
Q. 開発リソースがなくても導入できますか
開発工数をかけずにUI上へガイドを追加できることが、この種のツールの中心的な価値です。ただし導入時の初期設定や、対象画面への埋め込みで開発側の作業が発生する場合があります。どこまでを非エンジニアが行えるかは製品ごとに異なるため、トライアル中にガイドを1本作成してみて確認してください。
Q. 無料で試せる製品はありますか
Fullstarが無料プラン(Freeプラン)を提供しており、テックタッチも無料の提供があります。無料の範囲で確認すべきは機能の多さではなく、自社の画面にガイドが想定どおり表示されるか、作成・修正を担当者が自力で行えるかの2点です。
まとめ|まず「どちらのオンボーディングか」を切り分ける
オンボーディングという言葉は、従業員の受け入れと、サービス利用者の定着という2つの領域で使われます。検索の意図が前者ならタレントマネジメントや社員研修、後者ならカスタマーサクセスツールが対象です。
プロダクト内オンボーディングツールの費用は、料金を公開している製品で月額60,000円〜98,000円台、年額70万〜130万円が目安です。無料プランのある製品で自社の画面に1本ガイドを置いてみるところから始めると、実装上の相性と運用の負担を早い段階で判断できます。
製品ごとの機能・料金を横並びで比較したい場合はカスタマーサクセスツールのおすすめを徹底比較を、基本的な考え方から確認したい場合はカスタマーサクセスツールとは?をご覧ください。各社の資料をまとめて請求したい場合はカスタマーサクセスツールのサービス一覧から確認できます。
記載した料金は2026年8月時点の各社公式サイトの公開情報に基づく参考値です。プラン内容・価格は変更される場合があるため、最新情報は各社公式サイトでご確認ください。