勤怠管理システムを検討している中小企業の担当者が知りたいのは、「そもそも自社の規模で必要なのか」「予算はいくら見ておけばよいのか」「総務が1人しかいなくても運用できるのか」の3点に集約されます。製品比較の前に、この3つに答えが出ていないと検討は前に進みません。
この記事では、中小企業で導入が増えている背景を法令の動きから整理したうえで、導入すべき企業と急がなくてよい企業を判断基準つきで示します。費用はSmartSpaceに掲載している勤怠管理システム10製品の公開料金をもとに、従業員10名・30名で試算しました。少人数の管理部門で運用するための進め方もあわせて解説します。
本記事に記載した料金は2026年8月時点の各社公式サイトの公開情報に基づく参考値です。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。税表示(税抜・税別・税込)は各社の表記に従っています。
中小企業で勤怠管理システムの導入が増えている4つの背景
中小企業で導入が広がっている理由は、法令対応の負担が大企業と同じ水準になったこと・管理部門の人手が増えないこと・働き方が多様化したこと・クラウド製品の価格が下がったことの4つです。規模が小さいから対応しなくてよい、という領域が年々狭まっています。
労働時間の把握に関する法令が中小企業にも同じように適用されている
労働時間の管理をめぐる法令は、2019年以降に中小企業へ段階的に適用範囲が広がりました。厚生労働省が公表している主な動きは次のとおりです。
| 時期 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 2017年1月 | 労働時間の適正な把握に関するガイドライン策定。始業・終業時刻の確認は客観的な記録を基礎とすることが原則と示される | 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」 |
| 2019年4月 | 労働時間の状況を客観的な方法で把握することが事業者の義務に。タイムカードやPCの使用時間の記録等が例示される | 労働安全衛生法第66条の8の3、労働安全衛生規則第52条の7の3 |
| 2020年4月 | 時間外労働の上限規制が中小企業にも適用開始 | 労働基準法第36条 |
| 2023年4月 | 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率50%以上が中小企業にも適用(猶予措置の終了) | 労働基準法第37条 |
とくに2023年4月以降は、月60時間を超えた分の割増率が引き上げられたため、残業時間を月単位で正確に把握できていないと、支払うべき賃金の計算そのものが成り立ちません。紙のタイムカードを月末にまとめて電卓で集計する運用では、月60時間の境目を超えた時間数を拾い切るのが難しくなります。
出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」、厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」
管理部門の人員が増えないまま業務量だけが増えている
中小企業では、勤怠の集計を経理や総務の担当者が他業務と兼任しているケースが少なくありません。従業員が20名から40名に増えても、集計担当者が1人から2人に増えることはまれです。集計対象が倍になっても担当者は同じという状態が続くと、締め日前後に業務が集中し、給与計算のスケジュールを圧迫します。
テレワーク・直行直帰・シフト勤務が同じ会社に混在する
営業は直行直帰、事務は週2日テレワーク、現場スタッフはシフト制、という具合に、1社のなかで勤務形態が分かれる企業が増えました。タイムカードは事業所に出社した人しか打刻できないため、混在する勤務形態を1つの方法で記録するのが難しくなっています。
クラウド型の登場で小規模から始められる価格帯が広がった
かつての勤怠管理システムは自社サーバーへの構築を前提とし、初期費用に数十万円かかるのが一般的でした。現在はクラウド型が主流となり、SmartSpace掲載10製品のうち8製品が初期費用0円を公式サイトに明記しています。30名以下なら無料で使える製品もあり、予算が限られていることが導入を見送る決定的な理由にはなりにくくなっています。
勤怠管理システムを導入すべき中小企業と、急がなくてよい中小企業
判断の軸は従業員数ではなく、勤務形態の種類数・集計にかかっている時間・法令対応の抜けやすさの3つです。従業員10名でもシフト制で深夜勤務がある企業は導入価値が高く、従業員50名でも全員が固定時間勤務であれば急ぐ理由は限られます。
導入を検討したい中小企業の6つのサイン
次の項目に3つ以上あてはまる場合、システム化による効果が出やすい状態です。
- 月末月初に集計だけで半日以上を使っている — 従業員30名で1人3分の確認作業でも90分、差し戻しが発生すればさらに膨らみます
- 勤務形態が3種類以上ある — 正社員・パート・シフト制・裁量労働などが混在すると、手集計では計算ルールの取り違えが起きやすくなります
- 月60時間を超える残業が発生する月がある — 割増率が変わる境目を人手で管理するのは負担が大きく、計算誤りが賃金の未払いにつながります
- 有給休暇の取得日数を台帳で追えていない — 年5日の取得義務に対し、誰があと何日必要かを即答できない状態です
- 直行直帰やテレワークの勤務時間を自己申告に頼っている — 客観的な記録による把握が原則とされているため、自己申告のみの運用は説明が難しくなります
- 給与計算ソフトへ勤怠データを手入力している — 転記の工数と入力ミスの確認工数が二重に発生しています
導入を急がなくてよい中小企業の4つのケース
導入が最善とは限らない状況もあります。次のいずれかにあてはまる場合は、時期をずらす、あるいは別の手段を先に検討する判断も現実的です。
1. 従業員5名以下で、全員が固定時間・固定勤務地で働いている
全員が同じ時刻に出退勤し、残業がほとんど発生せず、シフトも夜勤もない場合、集計に要する時間はもともと短くなります。最低利用人数を5名としている製品もあり、少人数では1人あたりの実質単価が上がる点も考慮に入れる必要があります。まずは記録の保存方法を整えることを優先し、人数が増えるタイミングで導入を検討する進め方もあります。
2. 使っている給与計算ソフトや人事システムに勤怠機能が含まれている
すでに契約している給与計算ソフトやグループウェアに、打刻・集計の機能が標準で含まれている場合があります。追加費用なく使える機能を把握しないまま新規契約すると、機能が重複します。契約中のサービスの機能一覧を確認してから、不足している部分だけを補う判断が合理的です。
3. 半年以内に就業規則の全面改定や組織再編を予定している
勤怠管理システムの設定は、就業規則に定めた労働時間・休憩・割増賃金のルールを反映させる作業です。ルールが変わる予定があるなら、確定後に設定したほうが二度手間になりません。ただし改定が長期化しそうな場合は、現行ルールで先に運用を始め、改定時に設定を変更するほうが早いこともあります。
4. 打刻ルール自体が社内で定まっていない
「直行の日は何時から労働時間なのか」「休憩の取り方が人によって違う」といった状態のままシステムを入れると、記録は残るものの集計結果が実態と食い違います。システムはルールを自動化する道具であり、ルールそのものを決めてはくれません。運用ルールの整理を先に済ませたほうが、導入後の手戻りを抑えられます。
「中小企業」の法令上の定義と、システム選びで見るべき規模は別物
中小企業基本法における中小企業者の定義は、業種ごとに資本金と従業員数で定められています(製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下)。
一方、勤怠管理システムの選定で効いてくるのは、資本金ではなく打刻する人数・雇用形態の種類・拠点数です。従業員80名でも全員が同じ事業所で固定時間勤務の企業と、従業員25名が5拠点に分散しシフト勤務をしている企業では、必要な機能も費用も変わります。法令上の区分ではなく、自社の勤務実態を出発点に考えるほうが実務に合います。
中小企業向け勤怠管理システムの費用の目安
中小企業が実際に支払う金額は、従業員10名で月額0〜8,000円、30名で月額0〜15,000円の範囲に収まる製品が中心です。SmartSpace掲載10製品の公開料金をもとに試算しました。年間に直すと10名で10万円未満、30名で18万円未満が目安になります。
試算の前提は、従業員全員が毎月打刻し、標準的な勤怠管理機能のみを利用してオプションを追加しない場合です。金額は各社の表記どおり(税抜・税別・税込が混在)で計算しています。
| 製品 | 単価・プラン | 10名の月額 | 30名の月額 |
|---|---|---|---|
| ハーモス勤怠 by IEYASU | 登録30名以下は無料プラン | 0円 | 0円 |
| CLOUZA | 200円/人(税抜) | 2,000円 | 6,000円 |
| ジョブカン勤怠管理(1機能) | 200円/人 | 2,000円 | 6,000円 |
| kincone | 220円/人(税込)・最低5名 | 2,200円 | 6,600円 |
| レコル | 100円/人(税抜)※30名以下は最低利用料金3,000円 | 3,000円 | 3,000円 |
| KING OF TIME | 300円/人(税別) | 3,000円 | 9,000円 |
| Touch On Time | 300円/人 | 3,000円 | 9,000円 |
| freee勤怠管理Plus | 300円/人 | 3,000円 | 9,000円 |
| ジンジャー勤怠 | 400円/人 | 4,000円 | 12,000円 |
| ジョブカン勤怠管理(全機能) | 500円/人 | 5,000円 | 15,000円 |
| マネーフォワード クラウド勤怠 | ビジネスプラン6,480円+6名目以降300円/人(年払) | 7,980円 | 13,980円 |
従業員300名規模まで含めた試算や、料金体系のタイプ別の解説は勤怠管理システムの費用相場は?10製品の料金で比較にまとめています。
無料または月額3,000円以内で始められる3つの選択肢
予算をほとんど確保できない場合でも、選べる製品があります。
ハーモス勤怠 by IEYASU — 登録人数30名以下であれば、基本的な勤怠管理機能を無料プランで利用できます(一部機能に制限あり)。31名以上になった場合や、有給休暇の自動付与・届出申請ワークフローを使いたい場合は1人あたり月額100円からの有料プランへ移行し、無料プランのデータを引き継げます。無料期間の区切りがないため、まず記録を電子化したい企業の入口として使えます。
ハーモス勤怠 by IEYASU
★★★★★★★★★★- 初期費用
- 0円
- 月額費用
- 0円〜(30名以下無料)
- 無料トライアル
- あり
- 最短導入
- 要問い合わせ
- 登録人数30名以下なら基本機能を無料で利用可能
- 31名以上・高度な機能は1人あたり月額100円から
- 初期費用0円・年間一括払いなら11か月分の料金
レコル — 勤怠管理プランが1人あたり月額100円(税抜)で、掲載10製品のなかで最も低い公開単価です。30名以下には最低利用料金3,000円が適用されるため、30名までは一律3,000円、31名以降は人数×100円という計算になります。ICカード・生体認証・GPS・PCなど打刻方法が幅広く、給与計算オプション(1人あたり月額200円・税抜)を足せば給与明細や年末調整まで同じ画面で扱えます。
- 初期費用
- 0円
- 月額費用
- ひとり月額100円(税抜)〜。30名以下は最低利用料金3,000円
- 無料トライアル
- あり(30日間)
- 最短導入
- 要問い合わせ
- ICカード・生体認証・GPS・PC・チャットなど多彩な打刻方法に対応
- 勤務アラートと法令順守チェックで長時間労働の兆候を早期に把握できる
- オプションで給与計算・給与明細・年末調整まで同じ画面で扱える
CLOUZA — 1人あたり月額200円(税抜)で、初期費用・最低利用料金・最低利用期間のいずれも設定がないと公式サイトに明記しています。その月に打刻した人数分だけが課金対象になるため、5名で使えば月額1,000円です。有給休暇管理と申請承認ワークフローはオプション扱いで、両方をセットで追加すると1人あたり+150円が加算されます。
CLOUZA(クラウザ)
★★★★★★★★★★- 初期費用
- 0円
- 月額費用
- 200円〜
- 無料トライアル
- あり
- 最短導入
- 要問い合わせ
- 初期費用・最低利用料金なし。打刻した人数×月額200円の従量課金
- スマホ・タブレットのGPS打刻で外勤・複数拠点に対応
- 有給管理・申請ワークフローは1名+100円のオプションで追加
少人数の企業ほど「最低利用料金」で実質単価が変わる
公開単価が安い製品でも、少人数では最低利用料金や最低利用人数の条件によって割高になることがあります。掲載製品で公開されている条件は次のとおりです。
| 製品 | 条件 | 10名利用時の実質単価 |
|---|---|---|
| ジョブカン勤怠管理 | 月額最低利用料金2,000円(税別) | 1機能なら200円/人(下限に一致) |
| レコル | 30名以下は最低利用料金3,000円 | 300円/人(公開単価100円の3倍) |
| kincone | 最低利用人数5名 | 220円/人(5名未満でも5名分) |
| CLOUZA | 基本料金・最低利用料金・最低利用期間の設定なし | 200円/人 |
従業員10名前後の企業は、単価表の数字ではなく「自社の人数で契約した場合の月額合計」で比較することをおすすめします。
費用に含まれない項目も見積もりに入れる
月額利用料のほかに発生し得るのは、打刻機器の購入費と、初期設定・データ移行の支援費用です。ICカードリーダーや生体認証端末を使う場合、機器は月額利用料とは別枠になります。Touch On Timeの専用タイムレコーダーのように、本体価格を公式サイトに記載せず要問い合わせとしている製品もあります。
スマートフォンのGPS打刻やPC打刻で足りるなら機器費用は発生しません。拠点数と出入口の数、スマートフォンを全員が持っているかを先に確認しておくと、見積もりの精度が上がります。
なお、IT導入補助金の対象となる勤怠管理システムもありますが、対象は事務局に登録されたITツールに限られ、補助率・上限額・申請要件は公募回ごとに変わります。利用を検討する場合は、IT導入補助金の公式サイトと導入候補のベンダーの双方に最新の登録状況を確認してください。
中小企業が勤怠管理システムを選ぶときの5つの確認ポイント
中小企業の選定で差が出るのは、課金対象・標準機能の範囲・給与計算との接続・設定支援の有無・人数増加への対応の5点です。機能の多さで選ぶと、使わない機能の分まで支払い、設定だけが複雑になります。
1. 課金対象が登録人数か、その月に打刻した人数か
パート・アルバイトの入れ替わりが多い職場や、繁忙期だけスタッフが増える業種では、課金対象の違いが年間の支払額を左右します。KING OF TIME・Touch On Time・CLOUZAの3製品は、当月に打刻した人数分のみを課金対象とすると公式サイトに明記しています。休職者や長期欠勤者が在籍していても、打刻がなければその月の請求に含まれません。
登録人数を基準とする製品では、稼働していない従業員も登録されていれば課金対象になる場合があります。人数の変動が大きい企業は、見積もり時にこの点を明確にしておくと想定外の請求を防げます。
2. 有給管理と申請ワークフローが標準機能かオプションか
年次有給休暇の管理と、残業・休日出勤の申請承認は、多くの企業で早い段階から必要になる機能です。KING OF TIMEやTouch On Timeは全機能を月額300円のワンプライスに含めていますが、CLOUZAは有給休暇管理を+100円、申請承認ワークフローを+100円(セットで+150円)のオプションとしています。
単価だけを並べると安く見えた製品が、必要な機能をそろえた状態では順位が入れ替わることがあります。見積もりは「必要な機能をすべて足した後の単価」で揃えて比べるのが実務的です。
3. 現在使っている給与計算ソフトと連携できるか
勤怠システムを導入しても、集計結果を給与計算ソフトへ手入力していては工数が残ります。マネーフォワード クラウド勤怠・freee勤怠管理Plus・ジョブカン勤怠管理・ジンジャー勤怠は、いずれも同一シリーズの給与計算製品との連携を前提に設計されています。すでに同じシリーズの会計・給与を使っているなら、シリーズをそろえるほうが連携の設定は簡単です。
シリーズ外の給与ソフトを使い続ける場合は、CSV出力の項目をカスタマイズできるか、給与ソフト側の取り込み形式に合わせられるかを確認しておきましょう。
4. 初期設定を自社でできるか、支援を受けられるか
勤怠管理システムの導入で時間がかかるのは、就業ルールの設定です。所定労働時間、休憩の自動控除、割増賃金の計算ルール、締め日、承認経路などを製品上で表現する作業になります。専任の情報システム担当がいない中小企業では、ここでつまずくと運用開始が遅れます。
レコルはメール・電話(予約制)・チャットのサポートを無料と公式サイトに明記し、CLOUZAも初期費用・サポート費用を0円と案内しています。有償の導入支援を用意している製品もあるため、設定を代行してもらいたい場合は費用と作業範囲を見積もり時に確認してください。
5. 従業員数が増えたときに乗り換えずに済むか
導入から数年で人数が倍になる可能性がある企業は、増加後の料金と機能上限も見ておく価値があります。無料プランの人数上限を超えた際に有料プランへデータを引き継げるか、拠点や部門をまたぐ承認経路を設定できるかが分岐点です。ハーモス勤怠 by IEYASUのように、無料プランから有料プランへデータを引き継げる設計であれば、規模の変化に合わせて段階的に移行できます。
製品ごとの機能・打刻方法・連携先を横並びで確認したい場合は、勤怠管理システムのおすすめ8選を徹底比較【2026年版】料金・機能・選び方をご覧ください。
担当者1〜2名で勤怠管理システムを運用するコツ
少人数の管理部門で回すコツは、最初から全機能を使おうとしないことに尽きます。打刻と集計だけを先に動かし、有給管理やシフト作成は運用が安定してから追加していく順序が、失敗しにくい進め方です。
打刻と集計から始めて、機能は後から足す
初回の設定で有給の自動付与、複雑な承認経路、工数管理まで一度に組もうとすると、設定作業が長期化し、運用開始が半年先に延びることがあります。まずは「出退勤を記録し、月次で集計する」ところまでを動かし、給与計算に使える状態を作ります。
ジョブカン勤怠管理のように機能単位で契約できる製品なら、出勤管理1機能(月額200円/人)から始めて、必要になった時点で休暇・申請管理を追加する運用ができます。費用も機能も段階的に増やせる構成です。
ジョブカン勤怠管理
★★★★★★★★★★- 初期費用
- 0円
- 月額費用
- 200円〜
- 無料トライアル
- あり
- 最短導入
- 要問い合わせ
- 出勤・シフト・休暇・工数の4機能を必要な分だけ選択可能
- 1機能あたり月額200円/人から、全機能でも500円/人
- ジョブカンシリーズ(給与計算・労務・経費精算)と連携
就業ルールの例外を棚卸ししてから設定に入る
設定作業が難航する原因の多くは、明文化されていない例外ルールです。「特定の部署だけ休憩が45分」「入社3年目までは有給の付与日が違う」といった運用が残っていると、設定のたびに確認が必要になります。
設定に着手する前に、就業規則と実際の運用がずれている箇所を書き出し、この機会に統一できる例外は統一する判断をしておくと、設定工数も今後の運用負荷も下がります。統一が難しい例外については、製品がその設定に対応できるかを事前に確認しておきましょう。
給与の締め日をまたぐ形で無料トライアルを使う
掲載10製品はすべて無料トライアルまたは無料プランを用意しています。KING OF TIME・ジョブカン勤怠管理・レコル・CLOUZAは30日間、マネーフォワード クラウド勤怠とジンジャー勤怠は1か月間、kinconeは最大2か月間の無料利用を公式サイトで案内しています。
試用期間は、給与の締め日をまたぐ日程で設定してください。1サイクル分の集計を最後まで回すと、「想定していた形式で集計が出ない」「割増の計算区分が自社ルールと合わない」といった問題を導入前に発見できます。数名の部署だけで先行して試し、問題がなければ全社へ広げる進め方も有効です。
設定内容を1人に集中させない
担当者が1人の場合、その人が不在の月末に集計が止まるリスクがあります。設定変更の履歴、承認経路、締め処理の手順を簡単なメモに残し、管理者権限を2名以上に付与しておくと、休暇や退職時の引き継ぎが軽くなります。作り込んだマニュアルまでは不要で、A4で1〜2枚の手順書があれば実務は回ります。
従業員への説明は打刻方法だけに絞る
全従業員に必要な情報は、「いつ・どこで・どうやって打刻するか」と「申請の出し方」の2点です。管理者向けの機能まで含めた説明会を開くと、情報量が多すぎて定着しません。打刻画面のスクリーンショットを貼った1枚の案内を配り、最初の1週間だけ打刻漏れを担当者が確認して声をかける運用にすると、比較的短期間で定着します。
中小企業の勤怠管理システムに関するよくある質問
Q. 従業員が10名以下でも導入する価値はありますか
勤務形態が複数ある、残業が発生する、有給の取得状況を管理する必要がある、といった条件があてはまるなら10名以下でも効果があります。無料プランや月額2,000〜3,000円台の製品を選べるため、費用面のハードルは高くありません。
一方、全員が固定時間で残業もほとんどない5名以下の事業所では、集計作業そのものが短く、導入効果は限定的です。最低利用人数を5名としている製品もあるため、契約人数と実際の利用人数が合うかも確認しておきましょう。
Q. パート・アルバイトの入れ替わりが多い場合、料金はどう計算されますか
課金対象が「当月に打刻した人数」の製品では、その月に打刻した実人数分のみが請求されます。KING OF TIME・Touch On Time・CLOUZAが該当します。登録人数を基準とする製品では、退職者のアカウントを残したままにすると課金対象に含まれる場合があるため、アカウントの削除・停止の運用ルールを決めておくと無駄が出ません。
Q. 給与計算ソフトを変えずに、勤怠管理システムだけを導入できますか
導入できます。多くの製品がCSV出力に対応しており、給与計算ソフトの取り込み形式に合わせて出力項目を調整する形で連携します。ただし出力項目の自由度は製品ごとに異なるため、現在使っている給与ソフトの名称を伝えたうえで、連携実績があるかを確認しておくと確実です。同一シリーズでそろえた場合と比べて、月次で数十分の手作業が残ることがあります。
Q. 勤怠管理システムを導入すれば、労働時間の把握義務に対応できたことになりますか
システムの打刻記録は、厚生労働省のガイドラインが示す「客観的な記録」にあたる方法のひとつですが、導入だけで対応が完了するわけではありません。打刻漏れの是正、自己申告した労働時間と実態の突合、記録の適切な保存、就業規則との整合といった運用面の整備が伴います。
労働関係に関する重要な書類の保存期間は労働基準法第109条に定められています(経過措置により当分の間は3年)。システムの保存期間やデータ書き出しの方法も、契約前に確認しておくと安心です。判断に迷う点がある場合は、社会保険労務士や所轄の労働基準監督署への相談をおすすめします。
出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
まとめ|中小企業が勤怠管理システムを検討する前に決めること
中小企業にとって勤怠管理システムが必要かどうかは、従業員数ではなく勤務形態の種類数・集計にかかっている時間・法令対応の抜けやすさで判断できます。勤務形態が3種類以上ある、集計に半日以上かかる、月60時間超の残業が発生する月がある、といった状態なら、導入によって得られる効果は明確です。反対に、5名以下で全員が固定時間勤務、あるいは就業規則の改定を控えている段階なら、時期をずらす判断も合理的です。
費用は従業員10名で月額0〜8,000円、30名で月額0〜15,000円が目安で、30名以下なら無料で使える製品もあります。少人数の管理部門で運用する場合は、打刻と集計から始めて機能を後から足す順序と、給与の締め日をまたぐトライアルの2点を押さえておくと、導入後の手戻りを抑えられます。
製品ごとの機能・打刻方法・料金を横並びで比較したい場合は勤怠管理システムのおすすめ8選を徹底比較【2026年版】料金・機能・選び方を、各社の資料をまとめて請求したい場合は勤怠管理システムのサービス一覧をご覧ください。費用の内訳をさらに詳しく確認したい場合は勤怠管理システムの費用相場は?10製品の料金で比較が参考になります。
記載した料金は2026年8月時点の各社公式サイトの公開情報に基づく参考値です。プラン内容・価格は変更される場合があるため、最新情報は各社公式サイトでご確認ください。法令に関する記述は厚生労働省の公表資料に基づいていますが、個別の対応可否については専門家にご確認ください。