EAIとは?意味・機能・メリットをわかりやすく解説

EAIとは?意味・機能・メリットをわかりやすく解説

「EAI」という用語をシステム連携の文脈で目にしたものの、ETLやiPaaSとの違いや自社にどこまで必要な仕組みなのかがつかめないまま検索している方もいるでしょう。EAI(エンタープライズアプリケーション統合)とは、社内の複数システム間でデータを自動的にやり取りし、システム間の連携をノーコード・ローコードで実現する仕組み、またそれを支援するツールです。

EAIの導入が広がっている背景から主な機能、導入によるメリットと確認しておきたい注意点、検討の進め方までを順に解説します。具体的な製品同士の比較は、記事後半でご紹介する比較記事にまとめています。

EAI(エンタープライズアプリケーション統合)とは

EAI(Enterprise Application Integration)とは、基幹システム・会計ソフト・SaaSなど形式の異なるシステム同士をつなぎ、データを自動的に連携させる仕組みです。あらかじめ設定した連携フローに沿ってデータが同期されるため、手作業によるCSVの出力・取り込みをなくせます。

システムごとにデータが分断されていると、担当者がCSVを出力して別のシステムへ手入力する作業が発生し、時間がかかるうえ入力ミスによるデータの不整合も起こりやすくなります。EAIツールを使うと、業務効率化とデータ品質の維持を同時に実現できます。

ETL・iPaaSとの違い

混同されやすい仕組みとの違いは、「何をつなぐことを主な目的にしているか」で整理できます。

項目 主な連携対象 主な目的
EAI 社内の基幹システム同士 リアルタイム・イベント駆動でのデータ連携
ETL 大量データの抽出・変換 分析基盤(DWH)へのデータ集約
iPaaS クラウド上のSaaS同士 クラウドサービス間の連携

いずれも「システムをつなぐ」仕組みですが、EAIは社内システム同士の連携、ETLは分析用データの集約、iPaaSはクラウドサービス同士の連携を主な用途とする点で違いがあります。近年は境界が曖昧になり、複数の役割を兼ねる製品も増えています。

EAIツールの導入が増えている背景

導入が広がっている理由は、SaaS利用数の増加によるデータ連携ニーズの高まり、システム連携市場自体の拡大、属人化した連携処理を標準化する必要性の3点にあります。

1社あたりのSaaS利用数が増え、連携ニーズが高まっている

Hammockの調査(2023年9月、SaaSツールを6〜15個導入している企業の情報システム部門106名を対象に実施)によると、8割以上の企業が2年前と比較してSaaSの導入・利用が増加したと回答しており、9割以上が今後も増やす予定と答えています。利用するシステムが増えるほど、システム間でデータをやり取りする手間も比例して増加します。

iPaaS/EAI市場は高い成長率が続いている

ITR(アイ・ティ・アール)の調査によると、2025年度の国内iPaaS市場は82億円規模で前年度比18.0%の成長を記録しており、2026年度も高い成長が続くと予測されています。SaaS導入の増加にともない、システム間連携基盤への投資が拡大していることがうかがえます。

属人化しやすい連携処理を標準化する必要性が高まっている

個別のプログラムやマクロでシステム間の連携を組んでいる場合、担当者の異動や退職によって処理内容がブラックボックス化しやすいという課題があります。EAIツールで連携フローを画面上に可視化しておくことで、担当者が変わっても運用を引き継ぎやすくなります。

<p class=”cp-note”>※数値は各調査時点で公表されている情報に基づく参考値です(SaaS利用実態は2023年9月時点、iPaaS市場動向は2026年8月時点)。最新の情報は各調査の公表元でご確認ください。</p>

EAIツールの主な機能

主な機能は、連携フロー作成・接続アダプタ・スケジュール実行・データ変換・実行監視の5つです。

連携フロー作成

GUI画面上でシステム間のデータの流れを設計する機能です。

現場が得るメリット:プログラミングの知識がなくても、現場の担当者自身が連携内容を組み立てたり見直したりできます。

接続アダプタ

基幹システム・データベース・SaaSなど、多様な接続先にあらかじめ対応した部品を用意する機能です。

何が楽になるか:接続先ごとに個別のプログラムを開発する必要がなく、設定だけで連携を始められます。

スケジュール実行

定時バッチ処理や、ファイルの更新を検知したリアルタイム連携などを設定する機能です。

手作業からの解放:決まった時間にデータを取り込む作業を手動で行わなくても、自動的に処理が実行されます。

データ変換

文字コードや日付形式など、システムごとに異なるデータ形式を変換・加工する機能です。

フォーマットの違いはどう解消されるか:送信元と送信先で形式が異なっていても、変換作業を挟まずそのまま連携できます。

実行監視・エラー通知

連携処理が正常に完了したかを監視し、失敗した場合に担当者へ通知する機能です。

トラブル対応で変わること:処理が止まっていることに気づかないまま放置してしまう事態を防げます。

EAIツールを導入するメリット

導入するメリットは、連携構築の工数削減・多様な接続先への対応・属人化の防止・リアルタイム連携によるデータ鮮度の向上の4点です。

個別開発なしでシステム間連携を構築できる

接続アダプタとGUI画面があらかじめ用意されているため、ゼロからプログラムを開発するのに比べて、連携の構築期間を大幅に短縮できます。

基幹システムからクラウドサービスまで幅広くカバーできる

豊富な接続アダプタにより、オンプレミスの基幹システムからクラウド型のSaaSまで、1つのツールで連携先をまとめて管理できます。

連携処理が可視化され属人化を防げる

連携フローが画面上に図として残るため、担当者の異動や退職があっても、後任者が処理内容を確認しながら引き継げます。

リアルタイム連携でデータの鮮度を保てる

バッチ処理だけでなく、ファイルの更新を検知して即座に連携するリアルタイム連携にも対応できるため、システム間のデータのずれを最小限に抑えられます。

導入前に確認したいこと(デメリット・注意点)

確認しておきたいのは、導入・運用に一定のコストがかかること・大量データの一括処理には向かない場合があること・既存システムの仕様調査が必要なこと・操作の習得に時間がかかることの4点です。

導入・運用には一定のコストがかかる

無料プランを提供するサービスもありますが、本格的な有料プランは月額3万円〜10万円程度が中心で、より大規模な連携では月額20万円を超えることもあります(2026年8月時点の調査による参考値)。具体的な料金の目安はEAI(システム連携)ツールのおすすめ4選を比較【2026年版】料金・機能・選び方で確認できます。

大量データの一括処理にはあまり向かない

EAIはイベント駆動やリアルタイムでの連携を得意とする一方、1回あたりの処理データ量は大きくありません。分析基盤へ大量データをまとめて集約したい場合は、ETLツールなど別の仕組みが適していることがあります。

接続したいシステムの仕様調査が事前に必要

既存の基幹システムやSaaSが、EAIツールの用意する接続アダプタに対応しているかを事前に確認する必要があります。対応していない場合は追加開発が必要になることもあります。

操作の習得に一定の時間がかかる

ノーコードで設定できるとはいえ、連携フローの設計にはシステム間のデータ構造を理解する必要があり、担当者が使いこなせるようになるまでには一定の学習期間を見込んでおくと安心です。

EAI導入の進め方

導入は、連携要件の整理 → 候補の比較・資料請求 → トライアルでの操作確認 → フローの構築とテスト → 運用開始と継続的な見直しの5ステップで進めるのが一般的です。

ステップ 内容
1. 連携要件の整理 連携したいシステム・SaaSの種類と、必要な連携頻度(リアルタイムかバッチかなど)を整理する
2. 候補の比較・資料請求 候補サービスの対応アダプタ(接続先の種類)と料金プランを比較する
3. トライアルでの操作確認 無料プランやトライアルで、ノーコード画面での連携フロー作成のしやすさを確認する
4. フローの構築とテスト 契約後、優先度の高い連携から順にフローを構築し、テスト実行で動作を確認する
5. 運用開始と継続的な見直し 運用開始後もエラー通知やログを確認しながら、連携フローを継続的に見直す

最初からすべての連携を一度に構築するのではなく、優先度の高いものから着手し、動作を確認しながら対象を広げるほうが、トラブル発生時の影響を抑えながら精度を高めやすくなります。

EAIに関するよくある質問

Q. プログラミングの知識がなくても導入できますか?

ノーコード・ローコードで連携フローを設計できるサービスが多く、専門的なプログラミング知識がなくても運用できるよう設計されています。ただし、システム間のデータ構造を理解しておくと設計がスムーズになります。

Q. オンプレミスとクラウド、どちらを選べばよいですか?

セキュリティポリシー上オンプレミスでの運用が必要な場合を除き、サーバー管理の手間がかからないクラウド型(iPaaS)が導入しやすい選択肢です。自社の情報システム部門の体制に合わせて検討しましょう。

Q. 小規模な企業でも導入する価値はありますか?

連携するシステムの数が少ないうちは手作業でも対応できますが、SaaSの利用数は今後も増える傾向にあります。前述のとおり8割以上の企業でSaaS導入が増加しているため、早い段階から連携の仕組みを整えておくと、後からの負担を抑えられます。

まとめ

EAIとは、社内の複数システム間のデータ連携をノーコード・ローコードで実現する仕組みです。

  • 主な機能は連携フロー作成・接続アダプタ・スケジュール実行・データ変換・実行監視の5つ
  • メリットは連携構築の工数削減だけでなく、属人化の防止とリアルタイム連携によるデータ鮮度の向上にもおよぶ
  • 大量データの一括処理にはあまり向かないため、用途によってはETLなど別の仕組みと使い分ける
  • 料金は無料プランから月額数十万円規模まで幅があり、比較検討には具体的な数値の確認が欠かせない
  • 既存システムが接続アダプタに対応しているか、導入前に確認しておくとスムーズ

自社に合うサービスを比較したい場合はEAI(システム連携)ツールのおすすめ4選を比較【2026年版】料金・機能・選び方、掲載サービスの一覧と資料請求はEAIツールのカテゴリページからご覧いただけます。

本記事の調査方法

本記事は、ITR(アイ・ティ・アール)のiPaaS市場調査、Hammock「SaaS管理の実態調査」(2023年9月、情報システム部門106名を対象に実施)、および各社公式サイトの情報をもとに作成しています。数値・料金は変更される場合があるため、最新情報は各社公式サイトでご確認ください。

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