ワークフローシステムとは?機能とメリットを解説

ワークフローシステムとは?機能とメリットを解説

稟議や経費申請の承認を電子化したいとき、グループウェアの申請機能で足りるのか、専用の「ワークフローシステム」が必要なのか、違いが分かりにくいという相談をよく受けます。以下では、ワークフローシステムが指す範囲と紙・Excelでの運用との違い、導入が増えている背景、主な機能、メリット・デメリットを順に見ていきます。

ワークフローシステムとは

ワークフローシステムとは、稟議・経費申請・休暇申請といった社内の申請・承認手続きを、紙の回覧や口頭確認に頼らずオンラインで完結させる仕組みです。申請が今どの承認者の手元で止まっているかを、記録から追跡できる点が紙運用との最大の違いです。

紙の申請書を関係部署へ順番に回覧してハンコをもらう従来のやり方では、担当者が不在だと決裁が止まり、どこで止まっているかも本人に聞かないと分かりません。ワークフローシステムはこの申請・回覧・承認・保管の流れをオンライン上でつなぎ、誰の承認待ちで止まっているかを画面上ですぐに確認できるようにします。

紙・Excelでの申請との違い

紙やExcelでの申請と、ワークフローシステムの違いは、承認の進捗と履歴が個人の手元ではなく共有の仕組み上に残る点にあります。

紙・Excelでの申請 ワークフローシステム
申請の起票 手書き・Excelで都度作成 テンプレートに入力するだけ
承認の進捗 担当者に聞かないと分からない 画面上でリアルタイムに確認できる
承認ルート 申請者や部署ごとに手作業で判断 金額・内容に応じて自動で振り分け
保管・検索 ファイリング・個人フォルダ システム上で検索・一括管理

申請件数が少なく承認ルートも固定されている場合は紙やExcelでも運用できます。申請の種類や承認者が増えるほど、進捗の可視化と自動振り分けの価値が大きくなります。製品ごとの違いは、ワークフローシステムのおすすめ4選を比較【2026年版】料金・機能・選び方で確認できます。

ワークフローシステムの導入が増えている背景

ワークフローシステムの導入が広がっている背景には、働き方の変化と法制度への対応、市場全体の成熟という3つの要因があります。

テレワークでも決裁を止められない

総務省「令和6年通信利用動向調査」によると、テレワークを導入している企業は47.3%にのぼります。出社しなければ押印できない紙の申請フローでは、テレワーク中の社員の決裁が滞ってしまいます。場所を問わず申請・承認できる仕組みへの需要が、この数年で明確になりました。

電子帳簿保存法への対応が必要になった

電子帳簿保存法の改正により、2024年1月以降、メールやクラウドサービスでやり取りした電子取引の書類は、紙に印刷せず電子データのまま保存することが企業規模を問わず義務化されました。稟議や申請に添付する証憑(取引の証拠となる書類)も電子データで扱う機会が増え、保管までを一貫して電子化するワークフローシステムの必要性が高まっています。

市場自体が拡大を続けている

アイ・ティ・アールの調査によれば、2022年度のワークフローシステムの売上は110億円で前年比13.4%増となり、2027年には200億円に達すると予測されています。中堅企業の8割以上がすでに導入しているとの調査もあり(BOXIL「ワークフローシステムの市場シェア」)、中小企業への普及も進んでいます。

※各数値は2026年7月時点の調査に基づく参考値です。最新情報は各公表元の資料をご確認ください。

ワークフローシステムの主な機能

ワークフローシステムの中心となる機能は、申請書のテンプレート化・承認ルート設定・承認状況の可視化・代理承認/差し戻し・他システム連携の5つです。製品によって呼び方は異なりますが、この5つはほぼ共通して備わっています。

申請書のテンプレート化

稟議書・経費精算・休暇届といった申請書式をあらかじめフォーマット化し、必要項目を入力するだけで起票できます。

何が楽になるか:テンプレート化により、申請のたびに書式を一から作る手間がなくなります。

承認ルートの自動設定

部署・金額・申請内容に応じて、承認者と承認の順序を自動で振り分けます。申請者が「誰に承認してもらえばよいか」を都度確認する必要がなくなり、ルート設定のミスによる差し戻しも減らせます。

承認状況の可視化

誰の承認待ちで止まっているかを、申請者・承認者の双方がその時点の画面で確認できます。

効果:承認が止まっている担当者に個別に催促する手間が減ります。

代理承認・差し戻し

承認者が出張や休暇で不在の場合の代理設定や、記載内容に不備がある差し戻しに対応します。承認者が不在というだけで決裁が完全に止まる事態を避けられる点が要になります。

他システムとの連携

会計システムや経費精算システム、グループウェアとデータを連携し、承認済みの内容を自動で反映できる製品もあります。

何が楽になるか:システム連携により、承認済みのデータを他システムへ二重入力する手間がなくなります。

ワークフローシステムを導入するメリット

ワークフローシステム導入で得られる効果は、決裁スピードの向上・内部統制の強化・ペーパーレス化によるコスト削減の3点に整理できます。

決裁のスピードが上がる

承認ルートが自動で振り分けられ、進捗もリアルタイムに見えるため、「誰に確認すればよいか分からず止まっている」状態が減ります。テレワーク中の社員でも場所を問わず承認できるため、出社を待つ遅延も避けられます。

内部統制を強化できる

誰がいつ何を承認したかという履歴がシステム上に残るため、不正な承認や承認漏れを防ぎやすくなります。監査対応時にも、履歴を検索してすぐに提示できる点は、紙の書類を探す手間と比べて大きな違いです。

ペーパーレス化でコストを削減できる

用紙代・印刷代・保管スペースといった紙のコストがなくなるほか、承認のためだけに出社する必要もなくなります。書類を探す時間やファイリングの作業時間の削減にもつながります。

導入前に確認したいこと(デメリット・注意点)

ワークフローシステムを検討する際は、既存の業務フローとの適合・料金体系・システムに慣れるまでの負担の3点を事前に確認しておくことをおすすめします。

既存の承認フローとシステムの仕様が合わないことがある

申請の種類や承認ルートが複雑な企業ほど、システム側の設定でどこまで再現できるかを確認する必要があります。無理に既存のフローを崩すと、かえって現場の負担が増えることがあります。導入前に自社の申請パターンを洗い出し、対応できる製品かをトライアルで確認することをおすすめします。

料金体系は1ユーザー月額だけではない

SmartSpaceに掲載しているワークフローシステムの公式サイトを2026年7月に確認したところ、1ユーザー月額数百円から利用できる製品がある一方、月額数万円規模の個別見積もりが前提となる高機能な製品もありました。利用人数や必要な機能によって、割安になる製品は変わります。具体的な料金はワークフローシステムのおすすめ4選を比較【2026年版】料金・機能・選び方にまとめています。

※料金体系は2026年7月時点の各社公式サイトの調査に基づきます。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。

システムに慣れるまで運用が定着しにくい

紙やExcelに慣れた従業員にとって、新しい画面での申請操作は最初は戸惑いの原因になります。操作研修やマニュアルを整備せずに切り替えると、システムと紙の申請が並存し、かえって管理が煩雑になることがあります。

ワークフローシステムの導入の進め方

ワークフローシステムの導入は、現状の申請フロー整理 → 比較・資料請求 → トライアル → 承認ルートの設定 → 一部部門から運用開始の順に進めるのが一般的です。

ステップ 内容
1. 現状の申請フローを整理する 申請の種類、承認者、金額による分岐など、既存フローを書き出す
2. 候補を比較・資料請求する 対応できる承認ルートの複雑さ、他システム連携、予算をもとに2〜3製品に絞る
3. トライアルで操作性を確認する 実際の申請パターンを試し、現場の従業員が迷わず使えるかを確認する
4. 承認ルートとテンプレートを設定する 申請書式と承認ルートをシステム上に反映し、権限を設定する
5. 一部部門から運用を開始する 特定の部門・申請種別から始め、ルールを調整したうえで全社へ広げる

最初から全社・全申請種別で切り替えるのではなく、経費精算など利用頻度の高い申請から段階的に広げるほうが、現場の混乱を抑えられます。

ワークフローシステムに関するよくある質問

Q. ワークフローシステムとグループウェアは何が違いますか?

グループウェアはスケジュールやメール、掲示板など社内のコミュニケーション全般を扱うのに対し、ワークフローシステムは申請から承認、決裁までの手続きに特化しています。両方を一体で提供する製品もあり、既にグループウェアを導入している場合は、同じ製品のワークフロー機能を使えるかを先に確認すると連携がスムーズです。

Q. 中小企業でも導入する必要がありますか?

申請件数や承認ルートの複雑さ次第です。申請者・承認者が数名で内容もシンプルであれば、紙やExcelのままでも運用できます。部署をまたぐ承認や、金額によって承認者が変わる分岐がある場合は、従業員数が少なくても電子化の効果を得やすくなります。

Q. 電子印鑑・電子契約サービスとの違いは何ですか?

電子契約サービスは、社外の取引先との契約書に電子署名を行うサービスです。ワークフローシステムは、稟議や経費申請など社内の意思決定プロセスを対象とする点が異なります。社内の決裁を経たうえで、最終的に社外と契約を締結する場面では、両者を組み合わせて使う運用も見られます。

まとめ

ワークフローシステムとは、稟議・申請・承認といった社内手続きを電子化し、申請から決裁までをオンラインで完結させる仕組みです。

  • 紙・Excelでの申請との違いは、承認の進捗と履歴が共有の仕組み上に残るかどうかにある
  • 導入が増えている背景は、テレワークへの対応、電子帳簿保存法への対応、市場自体の拡大の3点
  • 主な機能は、申請書のテンプレート化・承認ルート設定・承認状況の可視化・代理承認/差し戻し・他システム連携の5つ
  • 導入前には、既存の承認フローとの適合・料金体系・運用定着までの負担の3点を確認しておく

自社に合う製品を具体的に比べたい場合は、ワークフローシステムのおすすめ4選を比較【2026年版】料金・機能・選び方で料金・機能・対象規模を一覧で確認できます。掲載サービスの一覧と資料請求は、ワークフローシステムのカテゴリページからご覧いただけます。

本記事の調査方法

本記事は2026年7月にSmartSpace掲載のワークフローシステムの公式サイトを確認し作成しています。統計データは総務省、アイ・ティ・アール、BOXILの公表資料を参照しました。料金・機能・提供条件は変更される場合があるため、契約前に各社公式サイトでご確認ください。

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